オウンドメディアにおける企業と書き手の幸せな関係
ジモコロというサイトがあります。
こちらははてなのはてなブログMediaというオウンドメディア構築サービスでできています(宣伝)。アイデムさんとバーグハンバーグバーグさんで運営しています。アイデムさんがオーナー、バーグハンバーグバーグさんが運営という位置づけです。
最近、アイデムの岡安さんとバーグの柿次郎さんが、ジモコロ運営の裏側を交換日記のようにやりとりされています。
そうしたところ、唐突に柿次郎さんから「アナタも参戦しなさい」とFacebookで呼びかけがありました。
ですが、僕はジモコロを動かすはてなブログMediaの提供に関わっただけです。そうしたらなぜか記事制作のやり取りのメーリングリストにも混ぜて頂いたので、「オチ◯チンという言葉の是非について真面目にメールで議論してるぜゲラゲラ」とか笑えて楽しいです。あとは記事の公開日がわかるので、いち早く読んでゲラゲラ笑える僥倖に預かっています(もったいないから初校の段階では読まないようにしています)。
そんな風にゲラゲラ笑っているだけですが、二社のやり取りを見ていて、これはオウンドメディアを作っていく上で幸せな関係だなあ、と思ったのでそれについて書きます。
オーナーである企業が、書き手(クリエイター)をリスペクトすることの大切さ
まずジモコロ、当たり前ですがバーグさんが作っているので面白いコンテンツが多いです。でも実は真面目なコンテンツもあるし、面白さの中に真摯に地方を応援するポジティブさもあります。個人的に更新を楽しみにしているメディアの一つです。
これはアイデムさんが、クリエイターであるバーグハンバーグバーグさん、そして編集長の柿次郎さんを尊重し、尊敬しているからできることだと思います。さらに編集長の柿次郎さんは、クリエイターのみなさんを尊重して尊敬されていらっしゃるのも伝わってきます。
当たり前に思われるかもしれませんが、一記事一記事しっかりと目を通し、それに所感を述べ、さらに意見をぶつけ合う。普段の業務もある中で、中々難しいことです。
それでも柿次郎さんは編集長として「この記事のどこが面白くて素敵なのか」をしっかりと伝えています。アイデムさんは記事の感想とともに、オーナーである企業の観点も伝えます。時にオチ◯チンに代表されるような、表現上の懸念も出てまいりますが、それでも柿次郎さんの意見を最大限汲んでいます。こうやって一歩一歩築いた信頼が、さらによいものを作っていく関係になっていくようです。
例えばはてなでも、リクナビNEXTジャーナルという媒体で、はてなブロガーに寄稿してもらうコンテンツ制作のお手伝いをさせて頂いております。
普段のやり取りから、リクナビNEXTジャーナルの担当者さんが、面白い記事を読むことがとても好きで、さらに書き手への愛を持っていることが感じられます。
「媒体としてはこのような内容を盛り込んで、読者にこのような読後感をもってもらいたい」というご意見はもちろん、それだけではなく「このブロガーさんは普段ご自身のブログでこのように書かれていらっしゃるので、こういった内容を盛り込んではいかがでしょうか」という踏み込んだご意見も頂きます。
もしブロガーさんを外注先と捉えていたら、ブロガーさんご本人のブログまでは読まないと思います。さらには、「このように構成を組み替えるとよりわかりやすくなるのでは」といった具体的な意見も頂きます。
こうしたやり取りから、リクナビNEXTジャーナルをよい媒体にしていきたい、面白くてためになる記事を世の中に出したいという意思、またそもそもブロガーさんから届く記事を心待ちにしている様子を感じます。そして僕達も一層頑張ろうと思えます。
(そういえばアイデムさんとリクルートキャリアさんを同時に取り上げるのはどちらにも怒られる気がする。。すみません。。。)
オウンドメディア構築がブーム
最近、WEBマーケティング業界ではオウンドメディアがブームです。本来ですが、企業サイトや採用ページ、チラシや展示会まで、企業が持つメディアはすべてオウンドメディアです。しかし今は、自社の製品に関わるニュースサイトを指してオウンドメディアと言うことが多いです。わかりやすいオウンドメディアの事例はサイボウズさんが運営されるサイボウズ式です。
サイボウズ式にあこがれて始められたオウンドメディアも多いと思います。こちらも編集長の藤村さんと書き手の皆さんが、「より面白くてためになる記事ができるように」とサイボウズLiveやチャットツールを使って、テーマや記事内容の議論していると聞いています。
このように当たり前のことですが、メディアを作るには記事が必要です。その記事をどうやって作ればよいか。現実問題、なかなかアイデムさんやサイボウズさんのように、一記事ずつクリエイターやライターと向き合って時間やお金などのコストをかけるのはそう簡単ではないと思います。
そこで一部のメディアでは、クラウドソーシングを使って1記事数百円の記事をむやみに集めたり、さらにはその程度の単価でライターやブロガーさんに発注しようとしているケースが聞こえてきます。
まず、僕はクラウドソーシングに記事を発注することを批判しているわけではありません。ですが、記事を作る仕組みが優先されてしまい、真偽の分からない記事が量産されてしまうケースも見られます。
ひどい場合は、胡散臭いなんちゃらコンサルタントに「時代はコンテンツマーケティングSEO!SEOのためにオウンドメディア作りましょう!記事は格安で集めるので大丈夫です!」と騙されてメディアを作ってしまうケースも聞こえてきます。
でもそうしてできあがったメディアは、企業のブランドを毀損していないでしょうか。自社のファンも読者のことも考えられていないメディアが増えているように思います。
さらに最近では、ブロガーさんにうまいことを言って安く記事を書かせようとしたり、ご本人のブログに不正なSEOリンクを貼らせようとしたり、ステルスマーケティング(広告であることを明示せずに謝礼を払って記事を書かせたり)を依頼することが増えているようです。
書き手を尊重して欲しい
ですが、どうかもっと書き手のことを尊重して欲しいです。
はてなの営業としてブロガーさんにお伝えしたいのですが、どうか書き手を尊重しない企業の依頼は受けないで欲しいです。ある日企業から「あなたに寄稿して欲しい」と依頼がきたらそれはとても嬉しいでしょう。でも必ず正しい報酬がもらえるように交渉して、嫌なことは嫌だと言って下さい。どうか、魂は安売りしないで欲しい。いつかそれはあなたを傷つけるかもしれません。
さて、ではどんな企業の依頼なら受けたら良いのでしょうか。それは、正しい対価をお支払いしてくれる、依頼の中にメディアとしての信念が見える、あとはオチ◯チンについて真剣に議論するような(ry