元はてなの広告営業 mtakanoの日記

はてなビジネス開発本部 営業部 部長の高野です

ライフネット生命キャンペーンの仕掛けと数値を公開します

4月19日にこんなキャンペーンを開始しました。
ライフネット生命 出口社長におもしろいセリフを言わせよう!

f:id:mtakano:20120521152618p:image:w360

唐突に依頼が届いてひっくり返った経緯は、ライフネット生命様のブログで紹介されています。
ライフネット生命×Webクリエイター「CONTENTS BATTLE!」特別編 参加企業インタビュー(はてな編) | ライフネット生命保険社員ブログ


残念ながら優勝は逃してしまいましたが、結果としてはかなり盛り上がり、PV数・ソーシャルメディアへの波及数も良い数値が出ました。営業先でも何度か「あのキャンペーン面白いですね」と言われました。

ライフネット生命×Webクリエイター「CONTENTS BATTLE!」|ライフネット生命保険


公開する前は「大丈夫かなあ、スベらないかなあ」とキャンペーン担当であるハイパーメディアクリエイターkiyoheroがドキドキしていたのは内緒です。せっかくですので、このキャンペーンを盛り上げるためにどんな仕掛けを考え、そしてどんな結果が出たのか、kiyoheroに代わりまして公開したいと思います。

ちなみに「3つの成功ポイント」のようにはまとめてはおりません。かなり長々と書いています。あとkiyoheroからエントリーのタイトルを「ライフネット生命キャンペーンの仕掛けと数値を公開しちゃうぜぇ〜、ワイルドだろう〜?」にしろと言われましたが、恥ずかしくなってきたので止めました。

※追記(12/5/30 17:04):このエントリーはライフネット生命様の許可を得て公開しています。

なぜはてなセリフでタイアップしたのか

ライフネット生命様からのご依頼は「どれだけBUZZを起こせるのかを他の4社と競争して欲しい」というものでした。

当初はBUZZの定義は特に決まっていませんでした。が、公開競争ということを考えると、たくさんのTweetといいね!数を獲得していなければ、少なくともユーザーはBUZZと判断してくれないだろうと思いました。他の4社と比較してのはてなの強みは、ユーザを巻き込むCGMコンテンツを展開できることです。そこで色々とブレストした結果「はてなセリフを使おう!そしてTweetといいね!を集めよう!」という話になりました。

はてなセリフ

今年の2月、はてなの実験的サービス置き場のはてラボにあるはてなセリフが話題になりました。NHNJapanのid:kushiiさんが、「マーク・ザッカーバーグの手紙」というはてなセリフを作成してくれたことをきっかけに、局所的に盛り上がりました。

f:id:mtakano:20120521153245p:image:w360


このあたりの経緯は、ねとらぼでも紹介されているのでご覧ください。
てへぺろって言わせてみたい:FacebookのザッカーバーグCEOに好きなセリフを言わせるジェネレータ - ねとらぼ


この「マーク・ザッカーバーグの手紙」のページを分析したところ、Facebookからの流入が1/3、ついでTwitterGoogle+という順にPVを獲得しておりました。まずid:kushiiさんがFacebookTwitterに投稿、id:kushiiさんのFacebook友達やフォロワーが流入、そのユーザーが新たなセリフを作成してソーシャルメディアに拡散、さらにFB友達やフォロワーが流入、、、、という良い循環が出来上がっていたようです。

はてなでは営業案件として記事広告キャンペーンを展開することが多いのですが、大体ソーシャルメディア経由の流入ははてブTwitterの割合が高いです。が、こちらではFacebookを中心に流入を集めるという、また違った結果が出たことに驚きました。「情報収集ははてブTwitter、友人の近況報告はFacebook、という使い分けがされているのかな」という体感値はありましたが、どんどんとFacebookの力が大きくなっていることを感じました。

この時から、「いつかはてなセリフを使ってキャンペーンをやりたい」と思っていました。

仮説

この「マーク・ザッカーバーグの手紙」の結果から、いかにユーザーに参加(投稿)してもらい、Facebookを中心に閲覧・参加の輪を広げられるか。これがはてなセリフキャンペーン成功のポイントだと考えました。

気をつけたポイント・仕掛け

BUZZを起こす、FacebbokやTwitterで拡散していくにはこの3つが大事なのでは?と考えて進めました。

  • 拡散したくなるようなネタ
  • 巻き込みやすい仕掛け
  • コンテンツの場の空気
拡散したくなるようなネタ

まず何と言っても大事なのは、どのようなセリフ画像であればユーザーが楽しんで投稿してくれるか、です。
社内・ライフネット生命ご担当者様でブレストした結果、出口社長に面白い格好をしてもらうのはどうか、ということになりました。たくさんのネタ出しをした上で、

  • 「実現性」
  • 「どんなユーザーにウケるか」
  • 「上場に関わるおめでたいメッセージにマッチするか」

の3軸で選定しました。また、セリフは1つではなく、マジックナンバーである3つがいいだろう、ということにしました。

結果、この3つになりました。

出口・治明からの手紙

f:id:mtakano:20120521153244p:image:w360

私の保険料、安すぎ…!?

f:id:mtakano:20120521153243p:image:w360

ワイルド社長

f:id:mtakano:20120521153242p:image:w360

はてなセリフというのはネットのヘビーユーザーには刺さる一方で、マニアックで敷居が高いコンテンツでもあります。そこで出来るだけ多くのユーザーが一目で趣旨を理解し、楽しんでもらえるよう、3つそれぞれでターゲットユーザーが別になるように考えました。

  • マーク・ザッカーバーグ」は評判になった実績もあるし、Facebookのヘビーユーザーやエンジニアには認知が高い画像なのでシェアされるだろう
  • 「@typeさんのバナー」は古くからのネットユーザーを中心にいじってくれるだろう
  • 「スギちゃん」はよりメジャー層に訴えかけよう

と別の狙いをもっていました。こうすることで、例えば「スギちゃん」の画像で投稿するユーザーの周りには「スギちゃん」が好きなユーザーが多い可能性が高く、友達を通じて拡散していくのではないか、と考えました。


方向性は決まりました。ただ素晴らしいネタ画像のためには妥協しない写真を取る必要があります。いい感じにくたびれたGジャンを探して夜の渋谷を徘徊するなど、その裏にはインフルエンサーkiyoheroによる涙ぐましい努力がありました。


f:id:mtakano:20120521191639p:image:w360

ただ「ジージャン売っていない」と言っただけで、「ジージャン=スギちゃん=スギちゃんのジージャンならここに売っている」と空気を読んで教えて下さるkiyoheroの友達には頭が下がります。
こうして準備した上で臨んだ撮影時の様子も、メイキングコンテンツで御覧いただけます。

好評につき、新ジェネレータ追加 & 撮影の舞台裏を公開! - ライフネット生命 出口社長におもしろいセリフを言わせよう!

巻き込みやすい仕掛け

いくら良いネタ画像が出来上がったとしても、ソーシャルメディアに投稿する導線がなければ効果は減ってしまいますので、ファーストビューに「セリフを作る」「ソーシャルメディアボタン」がしっかり入るようにしてもらいました(あとは「ブログへの貼付けタグ」も用意してもらいました)。
そして投稿をソーシャルメディア経由で閲覧したユーザーがキャンペーンの趣旨を理解し、自分も参加したくなるように。同時に、自分の投稿を友達に「こんな面白いコンテンツを作ったんだぜ(見つけたんだぜ)」とアピールできるようにしなければならないと考えました。


特にFacebookでそれが伝わるよう、OGPの設定方法を考えました。TOPページはキャンペーンの趣旨が分かるように、そして投稿されたコンテンツのページでは、ユーザー投稿だと分かるように。画像が肝のコンテンツですので、それがしっかりと表示されるのはもちろん、descriptionでの説明のほか、投稿ページではtitleを「出口社長におもしろいセリフを言わせてみた!」に変えました。

  • TOPページのOGP
<meta property="og:title" content="ライフネット上場記念!出口社長におもしろいセリフを言わせてお祝いしよう!" />
<meta property="og:type" content="article" />
<meta property="og:image" content="http://serif.hatena.ne.jp/images/lifenet/og-image.gif" />
<meta property="og:url" content="http://serif.hatena.ne.jp/lifenet/" />
<meta property="og:site_name" content="ライフネット生命 上場キャンペーン powered by はてな" />
<meta property="og:description" content="ライフネット上場記念に、出口社長がネットで人気のコラ素材になりました。おもしろいセリフを言わせて、ライフネットの上場をお祝いしましょう!" />

f:id:mtakano:20120521154631p:image:w360

  • 投稿ページのOGP
<meta property="og:title" content="私の保険料、 安すぎ…!?  - 出口社長におもしろいセリフを言わせてみた!" />
<meta property="og:type" content="article" />
<meta property="og:image" content="http://serif.hatena.ne.jp/serif_images/137.jpg" />
<meta property="og:url" content="http://serif.hatena.ne.jp/lifenet/generators/2/serifs/137" />
<meta property="og:site_name" content="ライフネット生命 上場キャンペーン powered by はてな" />
<meta property="og:description" content="ライフネット上場記念に、出口社長がネットで人気のコラ素材になりました。おもしろいセリフを言わせて、ライフネットの上場をお祝いしましょう!" />

f:id:mtakano:20120521154630p:image:w360


あとは、FacebookTwitter経由の流入が多いと想定していたので、最初の要件定義にスマートフォンビュー対応という項目を盛り込んでおきました。

コンテンツの場の空気

キャンペーンが盛り上がるかにおいて、特にソーシャルメディアを使った企画は、初動がとても大事です。盛り上がりが盛り上がりを呼びます。そしてそれは同時に閑散とした場を盛り上げるのは難しいということです。例えば出口社長のコラのみがあって、誰も投稿していなければ、投稿の二の足を踏むでしょう。
そのため、まずははてなスタッフにいくつか作ってもらい、ライフネット生命の担当者様にも選定してもらった上で、ページのオープン時にある程度の投稿が表示されているようにしておきました。さらに、人気のセリフ一覧コンテンツを作りました。この人気のセリフはPVで判定していました。その時のトレンドが出て、来訪の度に変化するようにしました。これらは投稿への抵抗感をなくし、同時に大喜利的に「自分ならこんなセリフを書きたい」と投稿を促進させる狙いでした。


その上で、はてなの中にこのようなバナーを設置し、まずははてなユーザーにキャンペーンに参加してもらいました。バナーのクリック率は、普段よりも倍くらい高かったです。そりゃあびっくりしますもんね。

f:id:mtakano:20120521154832p:image:w360


また、ライフネット生命とはてなのこれまでの関わりを伝えるコンテンツも設けました。こうすることで急にこういったキャンペーンが始まる唐突感、ユーザーの抵抗感を軽減させるようにしました。

このようなことを、社内で議論するだけでなく、ライフネット生命の担当者様からもアドバイスをいただきながら制作を進めました。

結果

全体数値

ドキドキしながら迎えたキャンペーン当日、僕のFacebookのタイムラインは出口社長のお顔で埋め尽くされました。前衛的なアートがそこにありました。次々に投稿される画像を見て、kiyoheroがホッとしていました。

そして、キャンペーン終了までの数値はこのような結果になりました。

投稿者数 セリフの投稿数 いいね! Tweet ブックマーク数 PV UU
900人以上 2,500以上 2,116 813 421 15万PV以上 4万UU以上
  • いいね!・Tweet・ブックマーク数はTOPページのみの数値です
    • それぞれの投稿ページも合わせると、3,600いいね!、539ブックマークになりました
  • 尚、これ以降に登場する数値やGoogleAnalyticsのデータの集計期間は4/19〜5/18です


予想通り、ソーシャルメディア経由での流入が多くを占めました。はてなユーザーがユーザーを呼んでくれるという効果を体感し、既にユーザーが集まっている場でキャンペーンを展開できる幸せさ・大切さを改めて認識しました。

トラフィック

キャンペーンページの参照元はこのようになりました。
f:id:mtakano:20120521160030p:image:w360

また、GoogleAnalyticsのソーシャルという項目で見る参照元はこのようになります。

f:id:mtakano:20120521160108p:image:w360

GoogleAnalyticsのソーシャルという項目では計測されていませんが、Twitter公式アプリではないクライアントアプリ経由での閲覧は(direct)になってしまっている様子です。全体の訪問数のうち、1/3がスマートフォン経由の流入だったことなどから、(direct)のうちのかなりの数はTwitter経由と考えられます。そうすると、FacebookTwitter経由での流入はおそらく同じくらいで、それぞれ全体の30%くらいになりそうです。

ざっくりとした数値で経由ごとに表にすると

Facebook Twitter はてなブックマーク 各種ブログ はてなバナー Naverまとめ Google
30% 30% 10% 5% 5% 1% 1%

でした。

セリフ画像がNAVERでまとめられたためか、NAVERまとめからの流入があったのも面白かったです。

導線

各ページのPV順です。
f:id:mtakano:20120521160226p:image:w360

訪問数の内訳は、約30%がTOPページ、約20%がセリフ一覧、約50%が投稿された個別のセリフページでした。
ユーザーフローも、TOPページを見てから、「セリフを作る」ボタンよりも先に小さなテキストの「投稿作品一覧」をクリックし、セリフ一覧ページを見るユーザーが大半でした。

一方で、LPごとに訪問数で出すとこのようになります。

f:id:mtakano:20120521160254p:image:w360

当初はユーザーが作った作品をFacebookTwitterで拡散し、結果としてそれぞれの投稿ページの訪問数が大部分になると想定していました。が、こちらのLPごとの訪問数グラフを見ると、2/3以上がTOPページへの訪問でした。
ソーシャルメディアに拡散された投稿作品経由で流入してくるより、キャンペーン自体を面白がってFacebookTwitterで拡散してくれたユーザーによるTOPページへの訪問のほうが多かったようです。これは、ユーザーがキャンペーン全体を楽しんでくれたと前向きに取るか、作品を作って投稿するにはまだまだハードルが高く、もっと効果を出せただろうという反省点なのかは、今後考えていく必要がありそうです。
尚、作品を作って投稿してくれたユーザーの割合は、全体訪問数のうち約4%でした。これも多いのか少ないのかは、今後検討の余地があります。

こんな人も参加してくれました

デイリーポータル林さんの作品

はあちゅうさんの作品

今後

盛り上がったとはいえ、反省点も多くあり、こうすれば良かったというポイントもいくつか残っています。時間的制約でできなかったものから、キャンペーンを開始してから気づいたものも、いくつもあります。特に個人的には、投稿作品の面白さよりも、Facebookの友達が多かったり、Twitterのフォロワー数が多いユーザーの作品が目立ってしまったところには改善ポイントがあると思っています。

とはいえ、CGM×ソーシャルメディアによって、閲覧・参加ユーザーを増やしていくプロモーション事例が出来たことが喜ばしいです。何よりもただBUZZを起こすだけではなく、ユーザーが楽しんでくれた結果が、ライフネット生命様への親しみに繋がるキャンペーンとなり、本当によかったです。kiyoheroさんの他、お手伝してくれたはてな社内の皆さん、ライフネット生命の皆さん、ユーザーの皆さん、ありがとうございました!


最後に宣伝しておきますと、このようなはてなセリフを使って何かやりたい!という場合には、僕ではなく、いつでもスーパーソーシャルメディアクリエイターkiyoheroにご相談下さい!資料も下記よりダウンロードできます!
はてなセリフタイアップのご案内(PDF)