元はてなの広告営業 mtakanoの日記

はてなビジネス開発本部 営業部 部長の高野です

ブライトスポットを探す

スイッチ! 「変われない」を変える方法、という本を読みました。いやー面白かったです。どんな本かといえば、「どうすれば人の心(自分も含めて)に変化を起こさせられるのか?」です。この本では、感情を「象」、理性を「象使い」に例えています。
象使い(理性)は象(感情)に比べると、はるかに小さく、弱っちいものです。大体象使いは勝ち目がありません。無理して頑張ってもいつかは負けてしまいます。

象使いが負けるとは?

例えば、ある大学生たちを対象にした実験。実験前3時間は何も食べないように命じていた大学生を、焼きたてクッキーでいい香りの充満した部屋に連れていきます。その部屋には2つの皿があり、一方にはクッキー、一方には大根が置かれています。半数の大学生にはクッキーを食べ、半数には大根のみを食べてもらったそうです。当然大根のみを食べた大学生は、クッキーを食べている半数をうらやましそうに見ていたそうです。その試食の最中、研究者はあえて出ていったそうですが、クッキーを盗み食いした学生は一人もいなかったらしい。偉いですねー。僕だったら盗み食いどころか大根で殴り掛かるかもしれません。


その後、絶対に解けない一筆書きのパズルが出題されました。結果、クッキーを我慢せずに食べることが出来た学生に比較し、我慢して大根だけを食べていた学生のほうが、すぐにパズルを解くことをあきらめてしまったらしいです。なぜかというと、セルフコントロールを使い果たしてしまったからだそうです。

うーん、セルフコントロールって消耗資源なんですね。。。


これを知らずに無理して努力するより、しっかり効率よく努力しましょう、変化を起こしましょう、という事が書かれています。象使いは計画や方針を、象はエネルギーを担当し、協力すればそれは凄いぜ、という事です。

この本が凄いところ

自己啓発、教育、プレゼンテーション、色々な観点から読むことが出来ます。そのあたりの本を何冊か読んでいれば、伝えたいメッセージは目新しいものではありません。例えば人を変えるには、方向性を指し示してあげる、ヤル気を与えてあげる、環境を変えてあげる、など。そんなん今更って話です。


でもこの本が凄いのは、その人を変える方法を整理して、豊富な実例を引用しながらまとめられている所です。「なるほどー」と納得するところがたくさんあります。


色々勉強になったのですが、せめて一つだけ肝に命じておこうと思ったことを書き残しておきます。
それは「ブライトスポット」を探すこと。お手本となる成功例を探すということです。

ブライトスポット

いくつも事例は載っていますが、その中から一つ。


セーブ・ザ・チルドレンに務める一人の男性が、ベトナムの栄養不足に苦しむ子供の問題をどう解決したか?そこにはたくさんの解決すべき問題がありました。貧困、不衛生、清浄水の未普及、栄養への無知。。。当然ながら予算もありません。


そこで彼が実施したのは、地方の村々を訪れ、貧乏でも栄養の足りた子供を探したことでした。そしてその子供の何が違うために、栄養が足りていたのかを探したそうです。


結果、栄養不足の子供は家族と共に一日二食、最高級の米など、やわらかい食品を中心に食事をしていました(そしてこれが村の常識でした)。一方、栄養が足りている子供は一日四食に分け、その村では子供向けと考えられていなかったエビやカニ、さらに低級な食べ物と見られていたサツマイモの葉を食べていたそうです。


そして、この知識を共有して終わるのではなく、村全員で手分けして食事を作ったそうです(エビやカニも混ぜながら)。知識を伝えて終わりではなく、希望を与えて実践してもらったんですね。


大体やりがちなのが、問題点の発見と分析です。もちろん大事なことですが、貧困、不衛生、、、といった問題を分析しても、結果論文や改善計画が建てられるだけで何も変わらなかったでしょう。

困難な問題、分析は思考を麻痺させます。「ブライトスポット」、当たり前のようだけど、大事な考え方です。明日はあのゆとり野郎のブライトスポットを探してあげよう。無かったらどうしよう。いやあるよきっと。


まとめ

  • 象使いに方向を教える
    • ブライト・スポットを手本にする
    • 大事な一歩の台本を書く
    • 目的地を指し示す
  • 象にやる気を与える
    • 感情を芽生えさせる
    • 変化を細かくする
    • 人を育てる
  • 道筋を定める
    • 環境を変える
    • 習慣を生み出す
    • 仲間を集める

スイッチ!

スイッチ!